[ML談義]

協会は通販眼鏡士に毅然たる措置を


この記事は、日本眼鏡技術研究会の有志のメンバーによる、メーリングリストでの話し合いをまとめたものです。



指導的な文書を出したい


 
岡本 今日来た眼鏡新聞(2007.6.22)によれば、技術者協会の津田会長は、通販眼鏡士について質問されて「強制はできないが、指導的な文書を出したい」と述べたそうです。おそらく、その文書を出して、それで終わりでしょう。
 通販でほとんど実績が上がっていない店の場合は、指導文書にしたがって通販をやめるかもしれませんが、そうでなければ、資格剥奪の警告でもないかぎりは通販をやめないでしょう。
 通販で売れている店の場合は、資格剥奪か、通販をやめるか、どちらかを選べ、と言われたら、迷わず資格剥奪を選ぶでしょう。
 しかし、認定眼鏡士のみなさん、通販眼鏡士は、眼鏡士の倫理規定に明らかに反しているのに、それに違反する眼鏡士を特定できていながら、毅然たる措置を講じないというのはおかしいと思いませんか?
 津田会長が言った「(通販をやめることを)強制はできない」というのは、おそらく「違法ではないから」ということからそう言ったのでしょう。
 しかし、違法ではないから津田氏が何もできないというのは、認定眼鏡士ではないメガネ屋の場合の話であって、認定眼鏡士ならば、その倫理規定に縛られるはずです。
 
 メガネを通販することは、無責任なメガネ調製販売を宣言しているのと同じですから、当然のことながら、倫理規定に反するのです。
 ですから、法的には通販をやめることは強制できなくとも、眼鏡士を統率する会の会長としては倫理規定に反する眼鏡士に資格失効を告げることはできるはずなのです。
もし、通販眼鏡士の行為が違法なら協会が自ら対策を講じなくとも警察か検察が動いてくれます。
 しかし、倫理的に大いに問題があるが違法ではないので、公権力では手を出せないから、その眼鏡士を統べている「協会」がなんとかしないといけないわけです。
 違法ではないから、という理由で協会は真剣に対応をしない、というのではダメなのです。

保田 ぜひ、一人でも多くの方に声を上げてほしいですね。一人、二人の声では何も変わらないでしょうが、これが10人、20人となってくるとわかりません。

                              ●

 
岡本 ではここで、みなさんにアンケートを採ります。
メガネやサングラスを通販していて協会が警告してもやめない認定眼鏡士を協会はどうすべきだと思いますか。
     +++++++++++++++++
 1)店主だけ認定眼鏡士の場合
( )A。その店主の眼鏡士資格を取り消しにする。
( )B。おとがめなしとする。
 2)店主と社員が認定眼鏡士の場合
( )C。店主のみ資格取消にする。
( )D。店主と社員の両方の資格を取消しにする。
( )E。誰もおとがめなしとする。
 3)店主は眼鏡士ではなく、一人または複数の社員が眼鏡士の場合
( )F。その社員の眼鏡士を資格取り消しにする。
( )G。誰もおとがめなしとする。

                              ●

 このアンケートに対して、下記のかたがたから、A.D.F.である、すなわち、警告をしても通販をやめない眼鏡士は経営者であっても、社員であっても資格を取消すべし、との回答をいただきました。

浜田清 原靖宏 桂孝次郎 青島弘明 小見英夫
保田光政 雪江美也 西俊美 田中博康 横田進
佐野豊 那須正直 田中廣久 箕田金男 板場浩
石川伸次 木部俊宏 半谷陽子 畔柳好孝
杉浦和行 浅野隆之 柴田一男 山中健一
橋本隆人 天野力 乙部圭子 福井康之 永光勝之
緒方裕三 辻一央 近藤正徳

その中からコメントの入っていたもの、あるいは、ADF以外のお答えをいただいたかたの声を下記に示します。

 
青島 眼鏡士という資格を作った目的に通信販売は著しく反しています。よって名乗る資格はないと思います。(それを不正な儲けの道具にして欲しくはない)

 
保田 通販眼鏡士をこのまま放置しておいたのでは、「士」が泣きます。

 
雪江 認定眼鏡士は個人が有する資格ですので、店主、社員に関係なく責任が問われると思います。

 
小見 主に通販で実績を上げているのは、眼鏡士以外が経営する店でしょうから、眼鏡士だけをどうこうしても通販の問題は解決するとは思えません。
 かえって眼鏡士以外が好き勝手をやりそうな気がします。

社員の責任を問うのはかわいそう?

 
岡本 もちろんそうなのですが、このアンケートでは協会執行部が眼鏡士として失格とも言える眼鏡士を
どう扱うか、ということを話題としています。
 それで、眼鏡士以外の通販業者に対する対策としては私が「メガネ通販110番」のサイトを作りました。
 協会も、新聞などの宣伝において、通販批判を書けばよいと思いますが、あまりそれはしていないようです。自分のいわば身内の人間に対してさえ厳しくできないのですから、ヨソの人間に対してはよけいに甘いのでしょう。
 すでに好き勝手をやっている通販業者に対して小見さんは、何か良い施策はあると思われますでしょうか。

 
小見 はい。アンケートの趣旨は理解しております。
施策というほどのアイディアはありませんが、本格的に腰を上げて、毎年目の愛護デーなどにやってる、あのつまらない新聞広告ですが、メガネ通販のネガティブキャンペーンも加えるとか、「通販はNO!」という目立つポスターでも配布して認定眼鏡士のいる店の店頭に掲示させるとか、という程度のことはやって欲しいですね。

 
岡本 ではそれを小見さんが協会執行部に提言してみられればいかがでしょうか。
 私は協会員ではないし、何を言っても「またあのうるさいヤツが何か言っている」としか取られないようですので……。
 保田さんは前に津田会長にメールで通販について提言をされました。返事は来なかったようですが。

 
野々村 私はA.C.F.です。

 
岡本 それだと、社員の眼鏡士の認定書などをHPに掲示して、当店はこういう優秀な人間が居る店です。ご安心してネットでお買い物を!という宣伝ができますが、それでもよいのでしょうか。

 
野々村 この時点では社員の責任を問うのはかわいそうではありませんか。社員の積極的な関与とは認めがたい。店主の失格後も継続されたらその時点で考えたいのです。

 
岡本 資格を取り消されてから反省して通販をやめるという人はまあいないでしょう。そんなことなら、資格を取り消される前の警告の段階で通販をやめるはずです。通販でそこそこ設けている人なら「資格維持か、通販続行か」の選択肢を与えられたら、迷わず「通販続行」を選ぶでしょう。
 いま私が言っているのは、もちろんですが、その店の眼鏡士すべてに警告を発して、それでも通販をやめなければどうするか、という話です。
 自分が知らない間に「あんたが勤務する店は通販をやっているから」ということで資格を取り消される、ということではありません。
 警告を受けた通販店の眼鏡士は、その店の眼鏡士が結束して店主に通販をやめさせるか、あるいは、店の方針にはさからわないで眼鏡士を取り消されるか、あるいは、他の店に移るか、の選択ができます。
 まあ、実際にはたいていの場合には、自分の生活のために、上の方針には逆らわずにその店にい続けることになるでしょう。
 そうすると、公益のために自分の専門的な能力を
発揮すべく「士」の称号を得たものとしての資格はなくなって当然でしょう。
 そして、店の方針に従ったがために眼鏡士の資格をなくしたとして、それを理由として給料を減らされる
こともないから、別に生活に困ることもないわけで、何も「かわいそう」なことはありません。どこが「かわいそう」なのですか?
 眼鏡「士」を名乗るだけの精神性がないとはっきり判明した人には、以後名乗らないようにしてもらわないと、マジメにやっている人こそかわいそうです。
 そもそも、誇りや責任感よりも収入の方が大事、という人が、眼鏡士を名乗る事自体がまちがいなのですが、協会がそういうことについてしっかり教育をしていなから、こういう無様なことになるのです。
 通販をしている店の眼鏡士は、自店の「無責任メガネ販売宣言」を推進または容認している眼鏡士なのですよ。

 
箕田 1)はAで、2)に関しては一応「D」としますが当該社員がどこまで通販に関わっていたかや、その社員自身がメガネの通販をどのように考えているのかを見極める必要があると思います。もし「通販には否定的だったが社員としての立場上やらざるをえなっかた。というのなら、これを機会にほかの店に移るという選択肢もあろうかと思います。
「このままメガネの通販を続けている店にいたなら、あなたの資格取り消しもあり得ますよ」というような警告をすることも必要ではないでしょうか。その上で状況が変わらなければ、その時は資格を取り消すということでも遅くはないと思います。
 メガネの通販を積極的に行なっていた店主の資格取り消しは当然のことと言えますが、【個人の資格である「認定眼鏡士」を当該店の社員であることだけを理由に取り消すのは難しいのではないでしょうか。】A
 3)の「F」に関しても同様に考えます。

 
岡本 私の先のメールをお読みいただくとおわかりいただけると思いますが、資格取り消しの前にそういう選択を迫るのは当然です。通販店に勤務しているからという理由での不意打ちの資格取り消しなんてあり得ません。
 【 】Aについては、だったら、店主のみが資格をなくして社員の資格を利用して通販の宣伝ができますよね。これまで通販をやっていた店主はそれをするでしょう。それでもいいのですか。
 ここでみなさんに確認をしていただきましょう。
 眼鏡士資格を取り消された人は、どういう困りかた をするのでしょうか。はっきり言えば、商売上の有利さがやや減る(かもしれない)だけで、特にどってことないのです。
 医師や弁護士の資格なら、取り消しになった翌日から生活に困りますが、眼鏡士なんて、取り消されてもほとんど困らないのです。
冨山さんなどは、試験に受かりながらも眼鏡士にはなられなかったくらいです。(^_^)
 医師や司法試験の国家試験に受かったのに、すぐに資格を返上する人、なんていませんよね。
 資格を取り消された眼鏡士は自店に掲げていた認定書を片付け、これまでチラシやHPに載せていた「認定眼鏡士」を載せないようにしたら、それでいいのです。
 商売は普通に続けられるし、勉強しようと思えばいろんな講習会に出るなどして勉強できます。協会から昇級を促す通知も来ませんから気楽でしょう。(^_^)
 ですから、眼鏡士の資格取り消しというのは、医師や弁護士などの、業務独占の公的資格の取り消しと比べたら、そのダメージは100分の1くらいにしかならないでしょう。だからその資格更新のときに、いつも大勢の人が、(おそらく)会費を払うだけのメリット(宣伝効果)がないと判断して更新をやめるわけです。
 眼鏡士資格を更新する人の大半は(全員が、とは言いません)、まあこのくらいの会費ならこの資格は宣伝の一環になるので、維持しておこう、という気持ちでしょうね。
 もしも「店の宣伝や自分の名刺などに『認定眼鏡士』と書いてはいけない」となったら、資格を更新しない人が急増するでしょう。(眼鏡学会の場合には、学会員であることを宣伝に謳ってはいけない)
 協会のHPのトップページに次の一文があります。
 (引用はじめ)またこのような業者の中には「フィッティング等不具合であれば、お近くの眼鏡店で直してもらってください。おそらく無料で直してくれます」などと標榜するところもありますが、自店の商品について、事後のフィッティングや不具合のアフターフォローの責任を一方的に他の販売店に転嫁することは、眼鏡技術者に課せられた販売者としての責任を無視する行為で、商倫理として許されるものではありません。(引用おわり)
 眼鏡「技術者」の倫理としても許せないのですから、
それよりも高い倫理性を持たねばならない眼鏡「士」であれば、なおのこと許せないでしょう。
 なのに、これまで、通販をする認定眼鏡士(協会執行部がその監督責任を持つはずです)に対して個々に警告さえしませんでした−。今度は質問に答える形で「文書で警告する」ということになりました。
 ではその警告の中に、「警告に従わなければ、眼鏡士の倫理に反するので資格を取り消す」ということが入るかどうか。それを入れるだけの志と覚悟と見識と責任感のある人物が協会の執行部の中にいるかどうか。それを会長が決断できるかどうか。
 みなさん、どう思われますか?

店員の資格を謳って通販を宣伝

 
松本 私はACGです。理由は、社長が社員に指示したのであれば、社員はしたがわなければならないと思うので、社員の眼鏡士を取り消しにするのは、行き過ぎだと思います。

 
杉浦 ACFです。

 岡本 店員の資格がそのままだと、その店は店員の資格を前面に出して通販ができますが、それでもよいということですね。
 通販眼鏡士は被雇用者でも全員資格を取り消すべきだということについて、昨日も私はいくつか書きましたが、今日は次のことを書いておきます。
 小松秀樹『医療の限界』(新潮選書2007)に次の記述があります。
 (引用はじめ)たとえ上司から強要されて嫌々ながら参加したとしても、参加した以上は個人的責任が生じる。
 薬害エイズ事件では、安倍英氏が部下の内科医に外国製の非加熱製剤の投与を控えさせる措置を講じる義務があったのにそれを怠り、患者にエイズを発症させ死に至らしめたとして業務上過失致死で起訴されました。
 これには大きな違和感を覚えました。
 医師免許は国家が個人に対して認めた資格であり、医師は独自の判断能力を有することを期待されている。
 部下の内科医ではなく上司の安倍氏だけを起訴したのでは医局の封建的教授の権威を抑制することはできません。(引用終わり)
 この著者は要するに、下記のようなことを言いたいわけです。
 下っぱの医師は上の言うことを聞いただけだからとか、あるいは、悪いことを知っていてもそれについて反対をしなかっただけで自分は直接悪いことはしなかったから……ということで下の医師を罰しなかったら、下の医師はのんきに構えて、今後また同様のことが起こるだろうが、こんな場合に下の医師も罰せられることが分かれば、下の医師は上の医師の言うままのロボットにはならなくなるし、悪いことをする上の医師に抗議をするようになるということです。
 通販をする店主とその社員(どちらも眼鏡士)についても、同じ事が言えます。
 自分が好ましくないと思っていても、上の言うことだからということでそれに好ましくないことに手を染めたり、見て見ない振りをするロボット眼鏡士店員は、眼鏡士を名乗るに値しない、ということなのです。
 個人個人が責任と誇りを持って倫理的に公益のために自分の専門的能力を発揮するのが「○○士」なのですから。
 たとえば、医師に言われて無理な注射をして患者を死なせてしまった看護師は、もちろんですが看護師本人も刑事罰の対象になります。資格を持っている人には独自の判断が要求されるのです。
 眼鏡士になれば、その資格名を宣伝に使えるという「権利」が生じますが、権利の裏には責任や義務がついてくるのです。眼鏡ユーザーに尽くすという責任が。
 

 野々村
 確信犯なら勿論かわいそうではありません。我々がいい迷惑で可愛そうです。
 
 
岡本 上から言われて通販に協力したのなら確信犯に対する共犯ですし、自分の店が通販をしていることを知っていても自分の生活のために知らぬふりで意見もしない、というのは確信犯に対する幇助罪だと私は言いたいです。やはり「士」としての責任を問われてしかるべきです。
 眼鏡士になれば、その資格名を宣伝に使えるという「権利」が生じますが、権利の裏には責任や義務がついてくるのです。眼鏡ユーザーに尽くすという責任が。
 
山中 私もADFです。眼鏡士は個人が有する資格ですので、店主や社員に関係なく取り消しにした方がよいと思います。

全然「気の毒」ではない

 
岡本 そうですね。通販店の雇われ眼鏡士を資格取り消しにするのは気の毒、という同情は、考えが浅いです。
 その眼鏡士の収入の一部は通販をして儲けたお金から出ているのですから。 
 
天野 私もADFです。事業主は言うまでもありません。社員の中には、通販は本意ではないが店の方針でやむを得ず従っている、という人もいるでしょうが、何のための、誰のための「認定眼鏡士」なのか考えれば、金のためなら何でもあり、というやりかたの片棒を担いでいる事の言い訳にはなりません。
 
岡本 雇われ眼鏡士はおとがめなしでよいと回答されたかたは、私からの反論に対して、反論はないのですか。
 ないのならば、ご自分の意見は変えられて、私の意見に同意であるとみなさせてもらいますが、それでいいですね。
 いや、自分の考えは変わらない、とおっしゃるのならば私からの反論に、ぜひまた反論してください。
 私は「それなら通販店の宣伝に店員の眼鏡士資格を使えますがそれでもいいのですね」とおたずねしたのに、それに対してどなたもお答えがありません。
 なぜ黙ってしまわれるのですか。
 私の言った事に納得できないのか、納得できたのか、どちらなのですか。
 黙っておられてはわかりません。学級児童会ではないのですから、最後までご自身の考えを述べてください。
 意見を変えるのならば変える、変えないのならば私に反論する、どちらかにしてください。
 初めは「雇われ眼鏡士はおとがめなし」とおっしゃったけれど、あとで私の意見を納得したとおっしゃったのは、いまのところ、野々村さんだけです。

                             ○

 それから、協会で教育関係の役職についておられる近藤さん、辻さんのご意見はいかがでしょうか。
 「メガネの通販は儲け第一のメガネ屋がすることであって、公益に尽くすべき存在である眼鏡士のすることではありません。貴店がメガネ通販を継続されるのなら貴殿の資格は取り消しになりますよ」と言っても、その店の通販がやまなかった、ということなら、その店の眼鏡士は全員資格取消、という措置に反対ですか。賛成ですか。
 もし、反対であれば、その理由をお聞かせいただければ幸いです。
 みなさんは一罰百戒という言葉をご存じですね。
 いま、通販をしようかどうしようか迷っている眼鏡士がいたとします。
 通販店の眼鏡士がみな資格を取り消されたということが業界誌などで報道されたり、人づてに聞いたりしたら、「やめとこ」と思うでしょうけれど、逆に「なんか警告のようなものが来たけどね、ほおっておいたら、そのまんまだわ。通販はいいねえ、フチなしでも定価で売れるし、楽だよ」なんて聞いたら、通販に踏み切りたくなるでしょう。
 通販眼鏡士に警告を出すだけ、なんてのは中途半端でダメです。
 やるなら、びしっと取り締まらなくては……。
 自分の子供にしつけができない親が他人の子供にしつけを言っても説得力がありません。
 「そんなことは、まず、あんたの息子にしつけをしてから言えば?」と言われてしまいます。
 傘下の眼鏡士を取り締まれない協会がまじめな眼鏡士や業界全般や世間に向けて眼鏡技術者の倫理を
説いても相手にされないのではないでしょうか。
松本 アンケートへの回答をADFに変更します。
 
永光 私もADFです。免許取り消しの可能性がある飲酒運転でさえ後を絶たないのに、罰則のない「会長談話」などしても効果ゼロでしょう。
 
岡本 会長は文書で警告する、とおっしゃっているのですが、とにかく「言うことを聞かなかったらこうなるよ」というのがなければ馬耳東風でしょう。
 安倍首相の任命責任というのがひところ取りざたされました。協会は「認定責任」を果たさないと行けません。
 自らの権限で認定した相手が悪いことをしたのなら、
その人間の認定を取り消すのはもちろん、場合によっては自分もやめないといけません。

私も、資格取消に賛成です

  私の回答はADFです。
 

 岡本
 なるほど。実際眼鏡士の資格を取り消されても、その人は生活の収入などの上でほとんど困らないと思うのです。医師の資格剥奪、などというのと全然違います。なぜかわいそうなのか、私にはさっぱりわかりません。
 それと、説得や警告をされてやめるのは、通販でほとんど儲かっていないところだけでしょう。
 説得や警告でやめたらそれでよいけれど、やめない所には、その店の眼鏡士全員を資格取り消しにしないといけません。
 それさえできなくて、協会が業界に向けて通販対策などできるわけがありません。
 会長は、まず、傘下の眼鏡士にけじめをつけて、それから業界一般にむけてどういうふうに通販撲滅をはたらきかけるか、ということに取り組んでいただきたいです。
 自分の家の子供を甘やかしておいて、他に家の子供に注意などできるわけがないでしょう。そんなことをしたら笑われます。
 
 
近藤 私も、店主の資格を取り消しにするのは当然だと思います。
 ミートホープ社の偽装事件でもわかるように、社員は、よほど切羽詰らないと、社長(店主)に「NO」といえないと思います。
 社員の資格取り消しは気の毒なような気がしますが、社員の眼鏡士の資格を使って通販を続けるというのは許せません。したがって、社員の資格取り消しもやむを得ないと思います。
 
 
岡本 さすがは近藤さんです。
 今日来た「時計工芸新聞」(2007.6.21)には、協会の総会におけるこの件については次のように書いてあります。
(引用はじめ)「協会としては指導的文書で警告する程度」というスタンスが確認された。(引用おわり)
 このスタンスは、傘下の眼鏡士に対する協会執行部の管理責任の中途放棄以外の何者でもありません。 講習を受けない眼鏡士も感心できないけれど、通販をする眼鏡士はもっともっと悪い、不届き千万の眼鏡士です。
 警告を受けても改めない無責任な眼鏡士を除名できないのなら、初めから眼鏡士の認定などすべきではないし、眼鏡士の倫理規定など設けない方がよかったと思います。
 なお、誤解のないように言っておきますと、たとえば、自分が処方調製したメガネがお客さんを満足させられなくて、そのお客さんから協会に苦情が行った、ということがあったとして、そういう表面的なことだけで、眼鏡士が処罰の対象になる、なんてことはありません。どんなに優秀な眼鏡士でも、結果としてお客さんに何らかの不満を与えてしまう、ということはときどきあるからです。
 倫理とはそういうものではありません。結果だけで判断されるのではなく、ある行為の動機、目的、内容(過程)において良いメガネを作ろうとする気持ちが非常に欠けているとみなされたとしたら、それは眼鏡士としての倫理にもとることだと言えるわけなのです。
 メガネの通販をするというのは、その顧客に合うメガネをアドバイスすることや、フィッティングすることを私は放棄しています、ということを天下に向けて広言していることになるわけですから、まったくもって、不届き千万な眼鏡士なのです。

                               ○

 それから、若井さん。若井さんのアンケートへの回答はADFでした。あなたが勤務する三城さんは通販をやっています。 http://www.rakuten.co.jp/paris-miki/(2007.6.28現在)
 もし、若井さんのところへ「あなたの会社が通販を
やめなければあなたの資格は取り消しになります」という通知が来たら、若井さんは、どのようになさいますか。
 それと、若井さんは、「○○士、というのは、私利私欲に捕らわれずに自分が持つ専門的能力で公益に尽くすべき専門職である」ということはご存じだと思います。
 そういう存在の人間が、営利企業を経営したり、そこの社員であったりすることに、そもそも矛盾した点があると思いませんか。
 そして、その矛盾を止揚するには、どうすることが必要なのだろうか、と考えたことがありますか?
 (参考) 医師、公認会計士、弁護士などは、そ    の本職に関わる分野では、株式会社、有限    会社などの営利企業の経営はできません。
    ○
 津田さんだけでなく、他の役員さんがたも眼鏡士の通販に関してあまり真剣に考えていないように私には見えますが、それならその人達は眼鏡士を訓育したり監督したりする資格がない人たちだと言えるでしょう。
 それと、通販も含めて、個々の案件について、その眼鏡士としての倫理を審査する委員会を作るべきだと思いませんか?

店主も店員も、お気楽に

 
岡本 たとえば、メガネ屋の店主が、店員のA君に「君も勉強して試験を受けて眼鏡士になったらどうか」と勧めたとします。
 その場合、その方がA君のレベルも上がるし、店としても良い宣伝になる、という程度の気持ちでしかなく、A君も、その程度にしか考えていないでしょう。
 しかし、本当に「○○士」という専門職となれば、それは自分の利益のためではなく公益(直接にはクライアントの利益)のために尽くす存在となるのですから、もしもA君が眼鏡「士」になったのなら、A君は店の利益よりも依頼者(顧客)の利益のために働かなくてはならない存在となるはずなのです。
 そうであれば、たとえば、店主が薄利多売のセールを企画したとしたら、A君が眼鏡士なら、「こういうことをしたらきっちりしたメガネが作れなくなります。ですからこのセールはするべきではないです。どうしてもなさるのでしたら、私はこの店をやめます」と言うべきなのです。
 そうでないとA君が「メガネ屋の店員」から「眼鏡士」になった意義がないのです。
 ですから、店員に対して「眼鏡士」資格の取得を推進するということは「利益第一の商売に対しては異論を唱える存在になれよ」ということなのですが、残念ながら店主(経営者)も、店員もそういうことまでは考えずに、お気楽に、眼鏡士の資格を得ようとしている、得ている……のが、いまのこの業界の現状でしょう。
 なお、私が若井さんに提出した質問に対しては、どなたでもご自分の意見を述べていただいてけっこうです。

武士なら腹を切れ、と

 
若井 パソコンのトラブルで返事が遅れてしまいました。申し訳ございません。
 私へのご質問に対する回答ですが、私の場合通知が来る来ないに関わらず、通販をやめるように会社に働きかけはしているものの、一地方の一社員の声はなかなか届かないのが現実です。何とかして周りを巻き込んでいきたいと考えてはいるのですが……。
 それで、もし「資格取り消し」の通知が来たとすれば、そのときは今の会社を辞めるときだと思っております。
 
 
岡本 若井さんは立派です。それでこそ、本当の「眼鏡士」です。
 
 
若井 それから「士」が営利企業に在籍していることについては、矛盾した点があるな、とは以前から思っておりましたが、どうすることが必要があるか?については明確な答えを出せないままでいます。まだまだ考えが足りないです。眼鏡士となって日は浅いですが大きい会社にいて眼鏡士としてあり続けることの難しさは感じております。
 
 
岡本 人間には性善の面もあれば性悪の面もあります。誰でもそうです。その割合において個人差があるだけです。
 いまの経済社会では、つい、儲けに目がくらみがちです。医師でも公認会計士でも弁護士でも、立派な人ももちろんいるけれど、儲けのためにヘンなふうになっちゃった人も、ときどき報道されます。
 では、株式会社を経営する、あるいは株式会社に雇われている眼鏡「士」が、「士」で有り続けるためにはどうすればよいのか。
「士」の資格を与えるものが、「士」とは何かということを「士」の資格を与えるときに、その資格をもらう人にたたきこむことがまず、一つ。
 いまの眼鏡士のほとんどの人は「士」の意味を知らずに眼鏡士になっています。
 その「たたきこみ」のときに、具体的に、「違法ではないが、してはならないこと」を例を挙げてしっかりと説明すること。そして、「そういうことをしたら、倫理審査委員会で審査して資格取り消しにする場合もあるよ」と言っておくのです。
 ユーザーのタメに尽くせ、というような抽象的な説教だけではだめです。「『士』たるものは、イザとなれば腹を切る覚悟がなければならない。みなさんは『士』の倫理に反することをしたら、腹を切る、すなわち、資格を返上することを覚悟しておいてほしい。何か警告を受けて自ら資格を返上しなければ資格を取り消されますよ」と言っておいたらよいわけです。
 そして、その「士」に関する倫理審査会をきっちりと機能させ、処罰すべき人間にはしかるべき処罰をすること、それしかないでしょう。
それと、一つの本を紹介しておきます。

 平川克美『株式会社という病』
        NTT出版2007(1600円+税)

 株式会社が歴史上初めてイギリスでできたとき、そういうシステムはあまりにもうさんくさいものだとして禁止されたというルーツを持つのが株式会社なんだそうです。
 それと、専門職が営利企業を経営することの矛盾について申しますと、これはいわば根本的な大きな矛盾であり、それを止揚するのはほとんど無理だと思いますが、唯一の可能性としては、ピューリタンおける利潤の考え方に習って、「まじめに働いて結果として儲かるのはよいが、儲けを目的に倫理的に望ましくない事をするのは良くない」という姿勢で職務に精励する、ということしかないと私は思っています。

眼鏡の通販をしている
眼鏡士のかたがたへ

の目次ページに行く


トップページ
メガネ通販・110番
に行く