[ML談義]
枠におけるマジメな品揃えとは?
回転率を揃えることが品揃えの基本
岡本 和泉先生などは詳しいと思うのですが、品揃えの基本というのがありまして、
店の商品の各品種の回転率を揃える、というのだそうです。
これはどういうことかと言うと、たとえば、男性が3女性が7の割でお客さんが来る店なら、
枠も、その比率で持っておれば、男性用枠と女性用枠の回転率がそろって、具合がよい、
というわけです。
ところが、もしもその店の場合で、主人の趣味や嗜好で、
もしも男性用と女性用を半々に品揃えをしているというのであれば、
マーチャンダイジングの常道から外れるわけです。
ですからたとえば、ヤングが全体の2割しか来ない店なのに、
ヤング用は5割も置いてある、というには、
この基本からはずれるのですが、
だからと言って、ヤング用を全体の2割しか持っておかないと、
ヤングが来たときに、まず売れなくなります。
そういうこともあるので、この「品揃えの基本」は、必ずしも
その通りにしないといけないというものではないのですが、では、
「私は近視が強いので、とにかくレンズの厚みが薄いメガネをかけたい」
という人は、全体の何%くらいおられるでしょうか。
そういう人にはもちろん屈折率の高いレンズで対応するのですが、
それだけでは不充分というもの。
鼻幅が21mm以上で玉型が46mm以下という、
ウスカル(薄軽)タイプの枠フレームをなるべく品揃えしておきたいものです。
それで、仮に、できるだけ薄くて軽いメガネを!という要望のお客さんが、
全体の1割くらいおられるとしましょう。
そうすると、品揃えの常道からすれば、
全体の1割は「ウスカル枠」にするのが良いわけです。
もしも、枠の在庫が1500本ある店なら、150本くらいは、ウスカル枠がほしいところ、
というのが、私の考え方です。
橘 強度近視というと、実際には何Dくらいを想定しておられますか?
それと、岡本さんがおっしゃった、鼻幅21以上で玉型46以下というのが、
ありそうでない絶妙のサイズで、当店には鼻幅20玉型47というのや、
鼻幅19玉型48くらいというのは結構ありますが、
46以下で21以上というのはほとんどありません。
でも、実際には−8〜9Dくらいで47、48サイズくらいでも(もちろんPDにもよりますが)
薄いレンズを使えば見た目がそんなに悪くはないと思うのですが……。
それと、私は今までは、枠の品揃えに関しては、男女比率やシニアとヤング、
そういう観点からしか見ていませんでしたので、これを機会に強度近視のお客さんの
比率をチェックして仕入れに生かして行きたいと思います。
強度近視人間の心理
岡本 ここで言う「強度近視」は、一応は6D以上ですが、要は、ご本人が
「自分は強度近視だ。少しでもレンズを薄くしたい」
と思っておられるかたのすべてが、ウスカル枠のお勧めの対象者なわけです。
もっとも、おすすめしてみても、こんな形はいやだ、とか、
いくらなんでもこれではレンズが小さすぎる、とかいうことで、
厚さ最優先のようなことをおっしゃっていたのに、
厚さがもっとも薄くできるうすかる枠は選ばれないということは、もちろんあり得ます。
ただ、そういう要望や意識を持った人には、
ウスカル枠をお勧めしてみる値打ちはあるのではないか、ということです。
それから、サイズの件ですが、装用者によっては、もちろん47〜50程度の
玉型サイズでも、それでもさほど厚いとは感じないのでしょうけれど、
橘さんご自身は強度近視の人間の「ヤーな感じ」をご存じないのではないでしょうか。
鏡や写真で自分の顔をみたとき、
グルグルウズが出ている顔を見るのは、ヤーなものです。
鏡を見るときには普通は正面から見るので本人はウズはあまり見えないのですが、
やや斜めから撮った写真を見ると
「わあ、他人からはこんなにウズが見えるのかあ!」
とビックリガッカリするものです。
それと、枠が大きいと、正面から見場合の顔の輪郭線の入り込みという、
ヘンな外見になることもありますが、ウスカル枠なら、そうなるおそれが少ないわけです。
そういうことが分かってからは、メガネを新しく作るたびに、
さっそく鏡で「大丈夫かな」と、斜めからみてウズの出方をチェックし、
正面から見て輪郭線の入り込みを確認するのです。(-_-;)
ウズメガネ人間における「たとえ、0.1mmでも薄くしたい」という切実な心理……。
わかるかなあ???
わっかんねえだろうなあ???(あの芸人、いまごろどうしてるのやら)
それで、もちろん「鼻幅21以上で玉型46以下」の条件に合わなくても、
度数によっては高屈折率のレンズなどによってそこそこに薄くできるのですが、
その条件に合致するのをウスカル枠と名付けてそれを20本以上置くことを
ウスカル会への入会の条件としている理由は以下のとおりです。
1.入会に当たっては、鼻幅21以上で玉型46以下という
「有効であるが数が少ない商品」
を品ぞろえするという姿勢(意気込み)を示してもらう。
会の正式発足は8〜9月になるので、それまでに揃えてもらえばよいわけで、
ご希望ならば仕入先の紹介(小田幸の他にもう一社あります)もします。
2.ひと目見たら、「あ、これは普通の枠と違うな」とわかる
「ウスカル枠」でのコーナー作りによる他店との差別化、
店の個性化(専門店らしさの演出)をするにあたっては、
せめて20本くらいは欲しい。
3.実際、強度になればなるほど、レンズのコバ厚に関して、
ウスカル枠と、非ウスカル枠の、差は歴然としてくる。
特にPDがやや広めで鼻根の太い人の場合に、ウスカル枠の威力は大きい。
たとえば、PDが66の強度近視の場合、
47□16(非ウスカル枠)と43□24(ウスカル枠)の比較では、
耳側の厚みは同じだけれど、鼻側の厚みはまったく違い、
前者は、レンズの鼻側の厚みと重さがまったく無駄で、
後者に比べて利点が何もない。フレーム視野においても両者は同じである。
外見上も、前者の方は玉型の中央よりも外側に眼の中心が来て、おかしい。
また、前者では、レンズの鼻側の厚みにつっかえてクリングスの調整が
ままならぬことがある。後者ではどんなに強度でもそれがない。
いまは、ウスカル枠はほとんど持っていない、という状態でもいいのです。
ウスカル枠をそろえてみようという意思があれば、
どうぞ、ウスカル会への入会を申し込んでください。
すでに現在8店、入会しておられます。(2005.4.2)
堀田 一昔前の強度近視枠って、
リム幅の広いだけでFカーブが深い何とも言いようのないものばかりでした。
強度のお客さんって、枠は店任せがほとんどで、いささか自戒の念を込めて言うなら、
随分重いメガネを売ったり、レンズのコバを削ったりとむりやりレンズ薄くして、
本当にお客さん喜ばれたのか?と……。
ネット社会の特徴はマイナーな人達がすぐ連帯できるのことだと思うのです。
強度近視に絞ってウスカル枠のHPを作れば、強度近視の人達には、
そりゃーヒットするのは間違いないでしょ。
岡本さんの店のHPにあれだけの問い合わせがあるのだから、
岡本さんが考案し横田さんをはじめとするプロ集団が後押しする枠だったら、
わたしらメガネ屋が自信をもって強度のお客さんに勧められると思うのです。
入会条件として初めから一括でたくさんの仕入れを強制されるわけじゃないので、
強度近視のお客さんに少しでも喜んでもらおうと思ってるメガネ屋だったら
是非入ってもらいたいものです。
ちなみに、うちの店の枠在庫は、陳列してるのが約800本くらいですので、
ウスカル枠は30本から40本ぐらいが妥当でしょうか。
しかし、この3年くらいで100本ぐらいの枠が、デッドストックちゅぅか廃棄処分ですわ。
他人任せの仕入れではしょうがないのでしょうね。
私が今回のウスカル枠の企画が気に入ったのは、
メガネ屋自らで考えてメーカーを動かしたというのがすばらしいと思いました。
ウスカル枠の威力
岡本 誤解していただくと困るのですが、
ウスカル会は、枠の共同開発や共同仕入れが目的、ではないのです。
個々の店で自由にウスカル枠の品揃えをしていただいてよいのですが、
ウスカル枠を仕入れるのが難しいのなら、
仕入れ先の紹介もします、ということに過ぎません。
ウスカル会設立の趣旨というか、その意義は、
強度近視に対応できる技術や枠の品揃えを持った店をHPで
ユーザーが一覧できる体勢を作ろうよ、ということなのです。
橘 6Dくらいだと、ウスカル枠なら超薄型レンズを使わなくとも
かなりのウスカルメガネになりそうだし、そういう意味でもウスカル枠の値打ちは
ありそうですね。(A)
それから、強度近視人ののヤーな感じというのは、私には実感としてないです。
言われて今初めてわかりました。やはり販売者としてその切実な気持ちを
理解して売ることは大切ですね。
当店では今まで、強度近視の人にはその都度対応、という感じだったのですが、
この企画には興味がありますので、考えてみたいと思います。
どうもありがとうございました。
岡本 Aに関しては、まったくその通りなのです。
ウスカル枠にはそういうメリットもあるのです。
たとえば、1.74や1.67の非球面では値段が張るので
1.6の球面設計プラスチックレンズにしたとして、
それを、−6DでPD66で42□24の枠に入れたとすると、
鼻側も耳側も、3.2mm程度の厚みですみます。
これでもし50□18の枠で同じ人に同じ度数で作って、
耳側の厚みを同じ程度にしておきたいのならば、
私の計算では1.80の非球面ガラスレンズを使わないといけないわけですが、
そうなると価格も上がり、重さも増します。
また、この人が50□18の枠でプラスチックレンズだと、
さらに価格が高い(1.6球面設計のレンズの2倍程度)
1.74非球面のプラスチック
を使っても、3.2mmまでは無理だと思います。
(実際にはカーブによって変わるので、たしかなことは言えないけれど)
また、たとえば、−3〜4Dくらいでも薄さにたいへんこだわるかたもおられます。
たとえば、42□24の枠で左右とも−3DでPDが各33の人に、
1.6のプラスチックレンズで作ったらどうなるかと言いますと、
レンズの最大コバ厚は2mm弱程度になりますから、
レンズの縁はどこもリムにスッポリを隠れてしまうわけです。
それと、みなさんご存じのように、できるだけ薄くというご要望には、
どんな枠で作る場合でも、プラスチックレンズよりもガラスレンズの方がベターなのですが、
ガラスだと重くなるからいやだとおっしゃるかたもおられます。
ところがウスカル枠だと、特に玉型サイズが40mm前後ものであれば、
ガラスレンズを入れてもレンズの面積そのものが少ないので、非常に軽くなります。
これまで私は、そのくらいのサイズで、
強度近視のかたにけっこうガラスレンズで作っていますが、
たいていは予想以上に軽くなって驚いてくださいます。
以上をまとめますと、
「ウスカル枠は、究極の薄さ軽さを求める人や、
比較的安いレンズでなるべく薄く軽くしたいという人に好適」
なわけです。
それから、遠視の上に老視が加わって中強度のプラスのレンズが入る場合も、
ウスカル枠ならかなりの小径にできますから、やはり薄く軽くなって有利だし、
鼻幅が広いので、鼻根が太めの人に使った場合でも、頂間隔距離が短くできますから、
読書などの下向き視線の場合でも、下のリムが目障りになるということもないわけです。
まじめなメガネ店とは?
岡本 ところで、以下は私の独り言として聞いてもらっていいのですが、
「日眼研の会員のほとんどは、まじめなメガネ屋さん、だと思うのです」
と私が言った場合、みなさん、なんとなく、
ああ、そういえばそうだな、と思われるでしょう。
それで、その「まじめ」をもう少し分析して考えてみると、
どちらかと言えば、売上げを上げるための商売熱心、
という意味での真面目さ、というかマメさ(たとえば、毎日のように近隣の住宅へ
チラシを宅配するとか)
というよりも、
検眼やフィッティングなどをまじめに勉強してメガネを作っているということ
だと言えるでしょう。
もちろん、おとり商品を掲げた価格訴求の宣伝などはしない、
というようなマジメさもあると思うのですが、実はそのほかに、
多くの本会会員のかたにやや欠けているというか、
まだ不充分、という「まじめさ」があるのではないかと私は思うのです。
それはどういう真面目さかと言いますと、品揃えにおけるマジメさ、です。
すなわち、顧客の恣意的な欲求ではなく、
必然的な理由からる必要性にできるだけ対応できるための品揃え……
それがマジメな品揃えであり、それがはたして十分にできているかどうか、
ということなのです。
それで、たとえば枠において「まじめな品揃え」とはどういう品揃えか、と言うと、
ブランドとかタイプとか、好みというのは顧客における必要性とは言い難いし、
そういうのはキリがないので、それにまで応じることが真面目な品揃えであるとは
言えないと思いますし、また、その必要性もないでしょう。
では、枠における真面目な品揃えとは、どういうものなのか?
それはいろんなことがあると思います。
たとえば、北出さんのお店で置いておられるような、鼻根に接触しない枠、というのも
その一種だと思います。ただ、たとえ頭に針金のようなものを被っても、
それでも鼻には接触しないメガネの方がよいというかたが非常に少ないので、
普通は置かないわけです。
あるいは置こうかなと思っても、入手ルートが作りにくいから、
その在庫の必要性と、新規取引の面倒さを考えに合わせれば、
ま、置かなくて良いか、と言った感じです。(私の場合は)
また、単式または複式の跳ね上げ枠の在庫状況、
なども、まじめな品揃え、の一つだと思います。
要するに、回転率は悪くとも、(商売的には損だけれど)
それが本人の好みとは関係なく必要であったり有効であったりというお客さんのために、
あえて回転率の悪い商品も持っておく、というのが真面目な品揃えだと私は思います
。
それで、枠におけるその「真面目な品揃え」の最も大きな要素は、
「サイズの豊富さ」だと私は思うのです。
みなさんのお店で、たとえば、セルフレームで(orメタルフレームで)
「あまり古めかしい感じ(おじさん的な感じ)のではなく、自分の顔に合うのがほしい」
と言ってこられて、
そのかたの顔が大きすぎて、好み云々の以前にサイズ的に合うのがまったくなかった、
ということが、これまでに何度かありませんでしたか。
あるいは、なんとかサイズが合うのはあったけれど、
1〜2本しかなくて気に入ってもらえなかったということがありませんでしたか。
私は、それは枠の品揃えにおけるマジメ度の不足から来たのではないかと思うのです。
もちろんそれは枠メーカーにおけるマジメ度が不足しているから、
すなわち、売れ行きの少ないサイズのものは商品化しないから、
ということも大きな原因であるわけですが、
まじめな小売店が増えて真面目な注文をもっと多く出すようになれば、
メーカーも真面目な商品化をもっとするようになると思うのです。
需要のあるところに供給あり、需要なきところに供給なし。
それで、ウスカル枠も、当然ながら、枠におけるまじめな品揃え、の一つだと
言えるでしょう。
ですから私は、強度近視の人のためのマジメなメガネ店集団「ウスカル会」、
というキャッチフレーズを考えています。
その考え方に共感されるかたには、ぜひウスカル会に入っていただきたいと思うのです。
で、もし、そのキャッチに対して、次のような反発があったら、どうでしょうか。
(堂々と自分の名を出してそういうことを言ってくる人はいないでしょうが、
ネットで匿名で言ったり、蔭で言ったりするわけです)
「自店はウスカル会には入っていない。
すると自店は『強度近視の人にとっては不真面目な店』だと言うのかね」。
これに対する私からの返答です。
これこれの条件を備えたA、と表現した場合、
ではA以外のものはその条件を備えていないと言っているのかというと、
そんなことはありません。
あくまでも、Aに関しては、その条件を備えていますよ、ということです。
それは論理の基本です。
たとえば、「自然の豊かな山国、日本」と言った場合に、
日本はそういう国であると言っているに過ぎず、
他の国はみなそうではないと言っているのではないことは明らかですよね。(^_^)
それと、一つあなたにお尋ねします。
あなたは「自店も強度近視の人のためのまじめなメガネ店だ」とおっしゃるのですか。
それなら、強度近視の人のために「まじめな品揃え」をしておられますか。
たとえばマイナス12Dのレンズが入った場合でも、
鼻側の厚みのためにクリングスが調整しにくくなるということのないメタルフレームを
何本お持ちでしょうか。
え、「−12Dなんて、めったにいないよ」ですって?
でも、そういう人が来られたときにでもきちんと対応できるものを用意しておくのが
強度近視の人のためのマジメなメガネ店、だと私は思うのです。
いかがでしょうか?
これまではレンズメーカーの奮闘で
そして、これまではユーザーに薄く軽いメガネを提供するという目的で奮闘してきたのは、
主としてレンズメーカーであり、小売店は、いわばお気楽に新製品のレンズを
「これならさらに薄く軽くなります」
と言ってすすめてきただけ」とも言えます。
たとえば宣伝で、レンズの薄さを比較した写真なども、
同じ枠で屈折率の高いレンズならこうなる! というものであり、
同じレンズでも枠の大きさの違いでこんなに薄さが変わる! というのは、
私は見たことがありませんでした。
枠メーカーにおいて、強度近視の人のためのベストサイズの枠は?
と考えるという発想そのものがなかったのでしょう。
そして、小売店の段階で、強度近視のお客さんだということであれば、単に
「レンズを薄く軽くするのなら屈折率の高い非球面のもので、
枠は小さめの方がよいですよ」
程度の、ありきたりの対応でお茶を濁してきたのではないでしょうか。
屈折異常の人たちの中では、少数派であるがために、
ともすれば真剣で細やかな対応を忘れられがちな強度近視の人たちのために、
みなさんのご賛同とご協力をお願いしたいのです。