[製品論]
究極のウスカル枠とは?
阿井植矢
ウスカル枠とは
私は、鼻幅が21ミリ以上で玉型が46ミリ以下のものを
「ウスカル枠」と呼んでいます。
そしてその中でも、鼻幅が24以上で玉型が42以下、というのを、
「究極のウスカル枠」と呼ぶことにしています。
この「究極のウスカル枠」だと、相当強度のレンズでも
ビックリするほど薄く軽くなります。
(自店にはいま、究極のウスカル枠が30本以上あります)
そして、「ワイド・ウスカル」とは
それから、鼻幅が21以上で、玉型が47〜50のものを、
「ワイド・ウスカル枠」、として、準ウスカル枠と考え、
その中でやはり鼻幅が24以上のものを
「究極のワイド・ウスカル」と呼びたいと思っています。
以上をまとめると、次のようになります。
ウスカル枠……鼻幅21以上で玉型46以下
その中で「究極のウスカル枠」
……鼻幅24以上で玉型42以下
ワイド(準)ウスカル枠
……鼻幅21以上で玉型は47〜50
その中で「究極のワイド・ウスカル枠」
……鼻幅24以上で玉型は47〜50
たとえば、天地のサイズは同じとして、強度近視のメガネで下記の比較をしてみます。
(1) 42□24
(2) 48□22
(3) 45□18
(1)は究極のウスカル枠で、(2)は(仮称)ワイド・ウスカルです。
(2)は(1)よりも、鼻側、耳側ともに厚くなり、レンズの重さも増しますが、
PDが68〜72くらいの人にはこの方が瞳孔中心の位置は自然ですし、
顔幅の広い人には似合います。
だから、強度近視であっても、場合によっては、
これはこれで値打ちがないこともないこともないわけです。
ところが、(3)のサイズの枠は、玉型サイズだけはウスカルなのですが、
実は、(1)に比べてまったく良いところなしなのです。
フレーム視野の広さは(1)と同じなのに、鼻側が無駄に厚くなり、
レンズの重さも増すのです。(耳側でこそレンズの厚みは同じだけれども)
そして、PDが63を越える場合には瞳孔中心は、
正面から見て玉型の中央よりも、外に入ってしまいます。
ですから、この枠は「鼻幅が21以上で、玉型が46以下」というウスカル枠の条件のうち、
玉型の大きさについては満たしているのですが、
これを準ウスカル枠として評価することはできないのです。
もっとも、この(3)は誰にも無価値ということはありません。
PDが63以下で、顔幅が狭めで、度数がさほど強度ではない…
そういう人になら、サイズ的には適していると思います。
ついでに、もうひとつ。
(4)48□18
このくらいのサイズのものは、どの店にも多いのですが、これを他の枠と比べてみます。
まず、厚みという点では、鼻側は当然ながら(1)(2)よりも厚くなります。
それはまったく無駄な厚さです。耳側も、(1)(3)に比べると厚くなります。
フレーム視野では(1)(3)よりは広いですが(2)には劣り、耳側が狭くなります。
PDが狭め(62以下)の人だと、玉型の中央よりもけっこう中側(鼻側)に
瞳孔中心が来ます。
ですから、スタイルがマトモ、という点を除くと、
こういうサイズの枠は、レンズの厚みを気にする強度近視の人には、
中途半端で格別の利点はなく、好適だとは言いにくいもの、だと言えるでしょう。
玉型と鼻幅のサイズの読みとりかた
次に、眼鏡店での実際の枠選びの現場における、
ウスカル枠のサイズの読みとり方について、書いておきます。
たとえば、40□24という枠があったとします。
この数字からわかることは、以下のとおりです。
1.まず、顔幅との関係では、
この大きさだと、相当顔幅の広い人には似合わないだろうけれど、
普通の顔幅の人でもいけるのか、あるいは顔幅が狭い人でないと無理なのか。
……それはわかりません。
なぜなら、智の横への張り出し具合や腕の形状が不明だからです。
2.次にPDとの相性ですが、
この枠のフレームPDは、40+24=64、で、64mmです。
ということは、PD64mm以上の人がこの枠を掛けると、
正面から見て瞳孔中心が玉型の中央よりも外に位置することになるので、
なんとなく外見がおかしいし、
本人もフレーム視野の点で耳側で足りなく感じるおそれが強くなってきます。
では、44□24ならどうかと言いますと、PD68の人でも外見はおかしくないし、
PDがいくらの人が掛けても、40□24の場合よりも、外側の視野が広がります。
しかし、もちろんですが、耳側のコバ厚は44□24の方が増します。
また、たとえば、準ウスカル枠である、48□22なら、
PDが広い(70前後)人で顔幅も広めの人に適していますが、
そういうPDや顔幅の人でも、近視がうんと強度の人なら、
それよりも46□26の方が、鼻側の厚みが減って好適だと言えます。
(なお、48□22と46□26では、同じレンズで同じPDの場合、
耳側の厚みは同じになります)
そういうことから分かるように、強度になればなるほど、
サイズにおいて、鼻幅と玉型と瞳孔中心間距離のそれぞれの相性が
シビアになってくるということです。
逆に弱度になればなるほど、鼻幅、玉型サイズはあまり気にせずに、
もっぱら、顔幅との関係で枠の大きさ(サイズ)を決めてもよいということになります。
ただし、その場合でも、顔幅が狭くてPDが広い人
(これは長頭型で、モンゴロイドに少なくコーカソイドに多いので日本人には比較的少ない)
の場合には、顔幅に合う枠だと、耳側のフレーム視野を足りなく感じ、
外見的にも瞳孔中心が玉型の中央よりも外に寄って見えたりでおかしい、
ということはあるかもしれませんが、
それを注意すれば、弱度では、たいていの場合には、
枠と顔幅との大きさのバランスがよければ(装用者の好き嫌いは別にして)
それでさしつかえないことになります。
(もっとも、それでも、鼻根がうんと広い人に鼻幅が14とかの狭い枠は適しませんが)
それで、メガネを作る人で、弱度と中程度と強度ではどちらが多いかと言いますと、当然弱度の方が多いです。
統計をとると、+で3D以下が多いのはもちろんのことですが、−でも、3D以下で半分以上をしめます。
たとえば、岡本隆博・野矢正『眼科処方箋百年の呪縛を解く』(日本眼鏡教育研究所)の
P.155のグラフからしますと、
マイナスでは、0.25〜2.00Dで全体の39%、0.25〜3.00Dで全体の53%をしめ、
もっともよく出る枚数は−1.00Dであると分かります。
そういう現実があるものですから、これまでの枠選び方法としては、
たいていは、主して好みと、顔幅との大きさのバランスで枠を決め、
(度数が強めの場合には「なるべく小さめに」というアドバイスはするにしても、鼻幅のことまでは配慮せずに)
それから、中〜強度であれば、なるべく薄く仕上がるように屈折率の高いレンズをお勧めする、
というふうにやってきたことが多かったのではないかと思います。
しかし、強度で厚みを気にする人には、レンズを屈折率の高いものを使うだけでなく、
ウスカルタイプの枠を使うのがよいわけなのです。
そして、枠が小さめの場合には、鼻幅や玉型の1mm2mmの違いが、
意外に、仕上がりの結果や外見、本人のフレーム視野に影響するものだということです。
これが結論!
そうなると、結論としては、強度用のウスカル枠では、(準ウスカルも含めて)
「鼻幅21以上、玉型50以下」の中で天地サイズも含めて、
サイズはできるだけ豊富に持っておくべきだ、ということになりそうです。
その場合、ウスカル枠の簡単な選びかたとしては、
・強度になればなるほど、鼻幅が広いものがよいから、まず、そういうのを探す。
・それから、本人のPDとフレームPDがほぼ合うものか、
本人のPDよりもややフレームPDの方が広めになるものを探す……
という方法です。
天地サイズは、当然ながら、単焦点を入れるのか累進を入れるのかと言うことが、
主な選択条件になってきます。
それと、もう一つ。
球面度数にかかわらず、強度のベイスインが入る場合には、
鼻幅が広い枠でないと鼻側が厚くなりすぎてクリングスの調整に困ることがあります。
その場合、ウスカル枠の中でも、特に鼻幅が広いものでがいいですね。
……ということは究極のウスカル枠か、あるいは顔幅の広い人なら、
ワイド・ウスカル枠のなかで鼻幅が24以上あるものがよい、ということになります。