老眼とは何か
人間は、生まれたときからすでに老眼が始まります、と聞きますと、
「えっ!?そんなばかな!」
と思うでしょう。
でももし、老眼を、
『(目のピント)調節力の衰え』
のこと。と定義すれば、そうも言えるのです。
どういうことかと言いますと、人間の眼というものは、ピントを調節できる働きがあります。
その能力のことを調節力と言うのですが、それは生まれてからずっと低下し続けるのです。
しかし、赤ちゃんはもともと必要以上の非常に強い調節力を持っていますので、
それが徐々に減っていっても実生活の上ではなんの不都合もないのです。
調節力は「D」という単位で表されますが、
子供の場合には「10D」を遙かに超える調節力を持っているので、
正視であれば眼前10cmよりも近いところものでもハッキリと見ることができます。
それが身体の成長と共に少しずつ弱まっていき、
たとえば20歳でほど10D前後、30歳では7D前後くらいにまで弱まります。
しかし7Dあれば、まだ眼前14cm前後までハッキリと見えます。
ですから、細かい文字などを眼に近づけて見たいときなども平気です。
ところが40歳を超えると、近視や遠視をしっかりと矯正した目、つまり正視の目では、
ピントを合わせられる最近距離が30cm程度にまでなってきます。
しかも、長い時間持続してその距離のものを見つづけるのは無理、という状態になってくるのです。
それがいわゆる老眼(眼科学では「老視」)です。
その不都合を解消するには、近くにピントを合わせやすい度数のメガネを掛ければよいのですが、
単にそのようにすると今度は遠くのものがぼやけて見えてくるようになります。
すなわち、昔からある、いわゆる「老眼鏡」は遠くの物はぼやけてしか見えない、けっこう不便なメガネなのです。
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